【インタビュー】劇団どくんご・2B「やめないよ、やりたいことがこれだから」

どくんごとの出会い

―2Bさん(以下敬称略)は子どもの頃からご両親に連れられて、よくどくんごのお芝居を観に行っていたと聞きました。どくんごとの出会いは覚えていますか?

家族で出掛けた時に、チンドン屋が芝居の宣伝をしていたのね。オレたちは車でいったん通り過ぎたのに、運転していた父親がわざわざ引き返してチラシを受け取りに行った。それを見て観に行ったのがどくんごで、オレは小学生だった。

両親がどくんごにハマって、当時はまだ4年に1回ペースのツアーだったけど、以来ずっと家族で観に行ってた。父親は宮城でテント芝居の音響をやっていたらしい。

 

―その時に感じたこと、覚えている?

うん。テントの幕をめくるのが怖かった。「この中に入って本当に大丈夫なの?」と危機のようなものを感じた。

あと子どもの頃から”どくんごの匂い”ってのがあって。それはドーランと汗と日本酒の匂いが木材とかにしみついたものだって、大人になって入団してから分かったよ(笑)

 

―2Bはどんな子どもでした?身体のキレがすごいけど、やはり運動は得意?

中学・高校では剣道・水泳・サッカー・テニスをやってた。

―ほかに特技ありますか?

虫歯ないです。

 

―子どもの頃から「将来はどくんごに入る」と心に決めていた?

いや、まさか。自分には絶対にできないだろうって思ってた。

―そうなの!?

そうだよ!!

 

 

どくんご「2B」の誕生まで

どくんごに入団した経緯を教えてください。

大学を出て一年間、東京でバイト暮らしをしてたのね。その時にどくんごの埼玉公演を観に行ったら、打ち上げで声をかけられた。翌年から創立メンバーの時折旬さんが出られなくて一人足りなくなるから、やってみないかって。

その前に大学の卒業公演の案内を送ったら、どくんごのメンバーが観に来てくれていた。だから一応自分の芝居は見てもらってから誘われたかたち。

―ご両親はさぞ喜ばれたのでは?

その埼玉公演を両親も見に来てたんだけどさ、「身内が出ると楽しめるか心配」って複雑そうだったよ。

 

―2Bという名前、記号の響きがかっこいい。どのように決めました?

大学入った時に”あだ名つけようムーブメント”が周りで起きて、本名の「遠藤→鉛筆」って、飛躍しすぎでしょ。「じゃあ濃さはー…HB、硬いな、B、いや、2B!」「そうだそうだ」と周りがなって。絶対定着しないだろうと思ったら、卒業時には本名を知らない人がいるくらいまで定着した。
…と言う流れ。くだらないでしょ!

―(笑) 芸名として付けたんじゃないんだね、入団前から2Bだったんだ。

 

 

どくんごベースの生活と芝居作り

―今は鹿児島という本拠地があって、劇団メンバーと共同生活をしている。大まかな年間スケジュールを教えてください。

5~11月はどくんご全国ツアー。それが終わると11、12月は翌年の公演地に打ち合わせに行く。各々担当地があってね。それを1月に持ち帰って会議にかけて、スケジュールを確定させたらツアーの準備に入る。稽古、チラシ作り、物販用のもの作りとかね。ツアー前一ヵ月はなるべく通し稽古をするようにしている。

 

―共同生活はどのように営まれていますか?

1日のルーティンがある。11時に朝食兼昼食をとって、午後1~3時は全体稽古。その後は各自で稽古。7時に夕飯を食べる。それ以外の時間は各自の仕事をしている。

料理は当番制で、洗濯と掃除には係がある。基本的に6人で生活していて、分担がはっきりしているよ。

 

―何年も一緒に暮らしているメンバーの方々はどんな存在?クリエイティブな現場で家族…というのはちょっと違いそうですが。

オレの家族はみんな自由。そういう家で育ったから、劇団のこと「家族みたいだね」って言われると「そうだね」とは答えてる。でも相手の言っている意味とは少しちがうのかもしれない。
メンバーはみんな、”面白いと思う人”のカテゴリーにいる人たち。

 

―どくんごのお芝居はどのように作られているのでしょう?

稽古期間に入ると、3日に1回くらい役者がネタ出しをして、やりたいことを発表する。それをくり返して、3週間後にどれをやるのか申告。
すると演出が付き始めて、作品の順番が決まっていって、「こういうものが欲しい」というのが出てきたらみんなで作る。

オレたちが住んでいる家の庭…というか山だけど、そこにはツアーで建てているのと同じサイズの舞台があって、天気の悪くない日はそこで稽古をしてる。

 

―長台詞もあるけど、脚本には起こしている?

台詞は稽古で変わっていくことが多いし、演出に渡すためにテキストにするくらいかな。でも最近はちゃんとデータに残そうと思ってる。いいネタはずっとやっていっていいと思うから。

 

―稽古の過程で最も苦労することは何でしょう?

うーん…全部大変なんだよ。まずネタを出揃わせること。
あと演奏やダンスシーンはね、オレたち素人だから。みんなで意見出し合ったり指導してもらったりして、形になるまでは試行錯誤の連続だよ。

 

 

一役者としての2B自身

―2Bメイクと衣裳はどう生まれた?

メイクと衣装は毎回変わってる。台詞からビジュアルを作ることもあるし、逆にビジュアルから台詞が生まれることもある。全体的なまとまりを見て、衣装が先に決まることもあるし。
メイクはネットで見て「こういう感じにしよう」とかね、独学でやってたんだけど。バーレスク系の人のメイクレッスンを受けて知識が身に付いたから、今はそれを活かしてる。

 

―前にインプロの話をした時、「オレは不器用だからがっちり固めたものしかできない」とおっしゃっていたのが意外だった。実際はそんなことはなく、あくまで自己評価だと思うのですが、役者としての自分をどう分析していますか?

オレはやれることしかできない。もちろん伸ばすことも同時には考えていて、やれることは増やしたい。そうすれば”できる”になるから。

ただね、オレは”それしかできない人”が好き。器用な人というのは、必要な役割ではあるかもしれないけど、本当に何でもできる人なんて居ないと思うんだ。

 

―変な質問かもしれないけど…いつも舞台上で何を考えてる?

ん?「どうだ!!分かんないだろう!?」って(笑) どくんごだから。

オレはウケてると本当に面白いのか不安になっちゃう。それで何が面白いのか分かんなくなっちゃう。そういうのはイヤだな。

 

―同じ内容でも時と場所によって客席の反応がぜんぜんちがうこと、ありませんか?

あるね。「そう見えてるんだ?」と思いつつ、いつも通りやるしかない。

 

―芝居をしていて幸せなことは?

毎年全国の人たちが待っていてくれること。その人たちは「芝居が観たい」、こっちには「芝居がしたい」という理由があって会えている。複雑じゃない、シンプルに求め合っているこの関係が好き。お互いに余計な欲がないから素直にしゃべり合える。

世の中むかつくこともあるけどさ、来てくれる人たちは日々の生活の中でどくんごを楽しみにしてくれているんだな、と思うと嬉しいよ。

 

 

一年の半分はツアー生活

―その生活をしているとミニマリストになっていきませんか?

オレはもともとすごい”持つ人”だったからね、捨てられないし。今も選んで捨てている時点でちがうんだよ。オレは「ミニマリストになろうと努力している人」なんだと思う。

 

―オン・オフの切り替えがとても上手。

まあビジュアル変わるからね。本番終わったらすげー抜ける…。
オレ、基本オフだから、すぐオフに戻れるんだ。

 

―ツアーで特にしんどいことは?

暑さ・寒さ。一応7・8月は北海道に逃げているけど、夏はバテないように、冬は体調くずさないように気を付けないと。常に100%かそれに近いことをやりたいもん。

―ツアー中に具合が悪くなったら本当に大変そう。

しんどくならないようにツアーは組んでいるし、ムリな時はムリと言えるチーム状態ではあるよ。芝居第一だから。

 

―ツアーで楽しい瞬間は?

お風呂!特にバラした後の!「人間に戻った~」と思う。前は風呂があまり好きじゃなかったんだけど、ツアー中は銭湯だから広くて楽しい。

あと旅生活と関係しているか分からないけど、飲食や買い物で”お金を使いたいところに使う”楽しさがある。面白いお店をやっているお客さんのおかげ。
お客さんに喫茶店をやっている方が多くて、そこに行って美味しいコーヒーを飲むでしょ。それでオレは世の中には美味しくないコーヒーがあることに気が付いた。

 

―ツアーが休みの年は外部出演をされたことも。外の舞台に出てみていかがでした?

「声がでかい」って言われた…。よそでは声でかいって言われるんだよ、オレ。
でも声出さないと身体に説得力ないから。ゆるい身体まじキライだからね。

―今後も外部に出演することはありますか?

未定だけどあるかもしれない。最近、映像作品を見るようになったのね。『仁義なき戦い』『男はつらいよ』シリーズとか、昔の日本映画をけっこう見てる。前は”背中で語る”というのがよく分からなかったけど、「これか!」と思った。映像も面白いよね、出てみたい。

―それは楽しみ!

 

 

役者・2Bのこれから

―実はネット上で、昨年の『愛より速く』が2Bのラストツアーだという噂を目にしたのですが…。

えーっ、オレ知らない。マジすか!!オレやめたほうがいいっすか!?(笑)

いや、やめないよ、やりたいことがこれだからね。
やりたいことに近いことをしている人はいても、ズバリやりたいことをしている人はあまり居ない。恵まれた環境にいる。

しかも応援してくれている人たちがいる。「オレら楽しいけどどうですか?」「楽しいから行きます」というこのシンプルな関係がとてもいい。

だから今やめようとは思わない。もちろん、状況はいつか変わっていくものだけど。

 

―安心した方が多いと思います。2018年の抱負は。

健康第一で!それがないと何もできないから。いい仕事するためには、ちゃんと寝る、休むのが大事。

あとはやれることを少しずつ増やしつつ、伸ばしつつやっていきます。

 

―最後に、どくんごファン、2Bファンの方々にメッセージをお願いします。

今後ともあのー、お誘い合わせのうえ、ぜひ足をお運びください。

たまにはちがう公演地で観るのも楽しいですよ!

 

 

2B(劇団どくんご)
宮城県東松島市出身。1983年生まれ。
多摩美術大学 造形表現学部 映像演劇学科 卒業。
2010年劇団どくんご入団、『ただちに犬 Bitter』より全国ツアーに参加。

活動の詳細は劇団どくんごHPへ。

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