【インタビュー】天輝マキ(クラウンてん)「心が温かくなる何かを」

2018-01-27

クラウンを目指したきっかけ

―マキちゃんと知り合った時、マキちゃんは劇団楽天夢座の女優さんで、保育士さんでもあった。クラウンを知り、志したきっかけを教えてください。

クラウンの存在自体を知ったのは子どもの時だけど、「なりたい」と思ったのは大人になってから。

高校時代、山形で東京キッドブラザーズのお芝居を観て、すごくいいなと思ったの。私も何か”心があったかくなるもの”をやりたいと。お芝居も保育士もクラウンも、すべてこの気持ちが根本にある。小さなあったかいこと=「小さな幸せ」が広がれば世界平和につながると本気で思ってるから。

私は小さい頃から”遊びを見つけること”が得意だったから、遊びを教えたいなと思って保育士になるため短大に行った。ずっと子どもの自己肯定感を育てることをしたかったしね。

学生時代はイベント会社に所属して、遊園地でウェルカムピエロをしたり着ぐるみを着たり、子どもヒーローショーのMCをしたり。劇団に入ったのも短大時代だね。

―「子どもの自己肯定感」を育てたかったというのは、自分自身の経験から生まれた思い?

それもある。私は変わった子だと言われて大人たちにすごく心配されたの、大丈夫なのに。

それに昔から悲しい人や怒っている人を見るのがとてもつらかった。たとえ自分に関係のない人でも。

 

―卒業後、保育士として働いている時に何かきっかけがあったんだね。

保育士として働きつつ、保育の専門学校で講師もしていた。でも本当のところ、10〜20代の頃は無力感にさいなまれていた。たとえば一つの目についたいじめを解決したとしても、私の目の前のものがなくなるだけで完全になくなるわけではない。またどこかで新たないじめが始まる。ニュースを見ても戦争や内紛はなくならない。平和な世界を望んでも、一人だと本当に無力だなあ…と。

でもたった一人の言動が誰かの心を救うことがあるのもまた事実で、私自身、そういう体験に恵まれた。その子は、ずっと大変な思いをしてきたのに、ずっと優しいままの男の子だったの。ああやっぱり一人でも小さい何かはできるんだと思った。日常の中で人々の「ちょっとしたニコッ」を増やしたいなと思って、まずバルーンアーティストとしての活動を始めました。

そうしたらそれを知った幼なじみが、ネットで調べてケアリングクラウン養成講座の存在を教えてくれて。一年間、毎月一回東京に通って学びました。

 

「ケアリングクラウン」としての活動

―病院や高齢者施設、災害の被災地などで心のケアをするケアリングクラウン。養成講座終了後はどのような活動をしていますか?

心身に苦痛や課題を持つ方々を居心地の良い空間に導いていくのがケアリングクラウンの役目。東日本大震災の後は被災地や高齢者施設を訪問しました。

その後、小児科病棟に笑いを届ける活動がしたくて、山形市コミュニティファンドの公開プレゼンテーションに参加。審査を通ったら山形市を中心とした地域貢献活動を行う補助金を受けられるシステムで、平成25年度のプレゼンで1位になったんだ。(その記録はこちらで読めます⇒【小児科病棟に笑いを届けよう

おかげで小児科病棟を定期訪問して子どもたちと遊んだりお話したり、闘病中の子どもたちに笑顔になってもらうための非営利活動をすることができた。一時帰宅中の子どもが「クラウンの来る日だから早く病院に戻りたい」と言っていたと聞いて嬉しかったな。

 

プロとして活動の幅を広げる

―その後も色んなスキルを習得して、クラウンとしての活動の幅を広げていきましたね。

そう、ケアリングクラウンはボランティア活動なんだけど、それを続けつつもいちパフォーマーとしてのプロ志向も強くなった。それはより広くかつ細かいところに何かを届けるためには、やっぱりスキルを磨いたり勉強したりする必要があったから。
保育の世界には素晴らしい人材が沢山いたけれど、こちらの活動をしている人はほとんどいなかったのもある。

楽しいショーができるプロのクラウンになるために、「クラウン的な稽古会」に参加したり、新しい技術を習得したり、パフォーマンスも磨いてきました。

今はケアリングクラウンとしての活動のほか、様々なイベントに呼んでいただいて舞台でショーをしたり、商店街などでグリーティングをしたり。折り紙やバルーンなどの基礎講座で教えることもしています。

 

クラウンに必要なこと

―パントマイムや手品など、クラウンの方は器用に色んなことができるイメージがある。どんなスキルが必要でしょうか?

クラウンにも種類があるから、どんなクラウンになりたいかで違ってくるよ。私はバルーンが得意だし、ジャグリングや手品、パントマイムなども学んでいるけど、楽器を演奏するクラウンやパペットを操るクラウンもいる。
共通点は「そこにいるだけで楽しくなる」「気持ちが落ち着く」ことかな。

 

―そのためにクラウンに最も求められる能力は何でしょう?

コミュニケーション能力。これはただ単に「人見知りしない」とか「物怖じしない」ということではなくね。例えばニコッと笑いかけたり手を振ったり、こちらから何らかのアクションを起こした時に、相手がそれを受け入れるかどうかを瞬間的に見極める判断力が必要なの。

―確かに、そういう気持ちじゃない時にグイグイ来られたらひいてしまう。

でしょう?だから近付きすぎて相手が不快にならないうちに、OKなのかNOなのかを見分けないといけない。誰でも自分の意志を無視して踏み込まれたら心をシャットダウンしちゃうよね。

それでもし相手がOKだとしたら、今度はよい距離を保つこと。その距離感も自分が決めるのではなく、相手に選ばせるの。もっと話したり遊んだりしたいのか、ふわっとしたやり取りをしておしまいにしたいのか。

ただ誰もが最初から100%正しく判断できるわけじゃないから、失敗してもくじけない心は大事かな。

 

やりがいと今後

―やりがいを感じるのはどんな時ですか?

気難しい顔をしていた人が、ふっと表情をゆるめた時。いつも一生懸命で難しいことを考えている人が気をゆるめてくれると嬉しいね。

―今後、どのような活動をしていきたい?

今まで東京・横浜・仙台・秋田などでも活動してきたのね。山形にクラウンがいないから、自分から外に出て繋がって仲間を増やしてる。でも基本的に山形で、地域密着でやっていきたい。

―クラウンとしてこれからチャレンジしたいことはありますか?

コミュニケーションの手段を増やしたい。手話を学んだんだけど、点字も覚えたい。あと英語かな…あんまり得意じゃないんだけど…いや、やっぱり英語も!と言っておく(笑)

知識も技術も増やしていって、でも最終的な目標はそれをぜんぶ捨てること!最高のクラウンは、何も持たないの。

バルーンやジャグリング、パントマイムなど、人を楽しませる技術はもちろんあるに越したことないけれど、私の目標は世界中の人と友だちになることだから。友だちになるのに技術は要らないでしょう?

―確かに!

私には、クラウンとしての自分を覚えてほしいとか記憶しておいてほしいという気持ちはまったくなくて。小さなところからの世界平和を目指してる。

ちょっとしたきっかけから、挨拶できる余裕や、他人に親切にできる余裕を取り戻してもらえたらいいなと思っています。

 

天輝マキ(クラウンてん)
山形県出身。5月20日生まれ。
<主な資格>
・保育士 ・幼稚園教諭2種免許
・ネイチャーゲームリーダー
・ケアリングクラウン養成講座終了
・造形表現講座講師
・日本折り紙協会認定講師
・笑いヨガリーダー
・認知症サポーター など

お仕事の依頼先Spur-crew
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